みなさんはこれから研究室に所属し卒業研究をします。 大学院に進学する人は、修士課程でも引き続き研究をします。
では、研究とは何でしょうか。一言で言えば、新たな知見を得るための活動です。 研究に必要とされているものとして、新規性と有用性があります。
みなさんがこれから研究テーマを決めるとき、「巨人の肩の上に立つ」ことを意識しましょう。 先人たちが積み重ねてきた研究成果はありがたく利用し、その上を目指しましょう。 そのためには、先人たちが何を研究してきたのか、調査する必要があります。
ある分野に興味を持ったとき、その分野の研究の動向を知るには、その分野の研究者が公表した論文(article, paper)を読むのが一番です。
研究者が自身の研究を公表するために書いた論文を「研究論文」といい、通常ただ論文と言った場合には研究論文を指します。 その他の論文としては、専門外の人に技術を紹介する「解説論文」、研究の動向をまとめた「サーベイ論文」などがあります。 興味のある分野の解説論文やサーベイ論文があると非常に役に立ちますが、最終的には原典である研究論文を調査する必要があります。
論文は通常、定期刊行されている学術雑誌(journal)に掲載されます。多くはなんらかの「学会」が発行しているものです。 研究者は学会に論文原稿を投稿し、学会側で内容を精査する査読というプロセスを経て、掲載するに値すると判断されたものだけが掲載(採録)されます。
大きな学会では、研究論文を掲載する論文誌と、解説論文や一般記事などを掲載する学会誌に分けられていることがあります。 また、まれですが学術系の出版社が独自に発行している学術雑誌もあります。
研究は、学術雑誌ではなく研究者の集まりで発表されることもあります。 この集まりのことを国際会議(academic conference)といいます。 国際会議は学会かその下部組織が主催し、発表するには発表内容を論文にまとめたものを投稿し、査読で認められることが必要です。 発表者が投稿した論文は、予稿集(proceedings)としてまとめられ、刊行されます。
学会では、年に1~2回、大会という会員の集まりを開催します。 内容は短時間の研究発表であることが多く、その発表内容に基づく論文集が発行されます(文系の学会では発行されないこともあります)。 この論文集は査読がないか、あっても形式的なことが多く、質は保証されていません。 また、2-4ページの短い論文です。
学会の下部組織として、ある特定の分野の研究者が集まる研究会(special interest group)という組織があります。 不定期に研究会(公開の発表会)を開き、論文集を発行します。 この論文集も査読はありませんが、大会の論文集よりも分量があり、内容が充実しています (国内の研究会では 6-8ページ)。
なお、学会に属する研究会とは別に、任意団体の研究会があります。 これは勉強会のようなもので、発表はありますが論文は作成されないものがほとんどです。
論文公開サイトに投稿することにより論文を公表することもあります。 誰でも投稿でき、査読による質の保証はありません。
機械学習など技術の進展が早い分野では速報性が重視されるため、活用されています。
学会とは研究者による団体で、会員に研究発表の場を提供するものです。 論文誌を発行したり、口頭発表の場を提供したりします(国際会議・研究会・大会等)。 会員間の査読によって、研究発表の質を担保します。
「○×学会」であれば、「○×学」を研究分野としている研究者が会員となっています。 広い分野をカバーする大きな学会から、 狭い分野に特化した小さな学会までさまざまなものがあります。
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