目的
組み込み機器に多用されているPICマイクロコンピュータを用いて、機械語プログラミング、入出力処理の基礎を学ぶ。
概説
PIC(Peripheral Interface Controller)は、米国Microchip Technology Incが製造している8ビットのワンチップマイクロコンピュータである。PICシリーズは、用途に応じて多種のラインナップが用意されている。本実験では、このうち最も一般的なものの一つであるPIC16F87を用いる。図1にPIC16F87の外観を示す。
図1 PIC16F87の外観
一般的なマイクロコンピュータは、最小構成の場合でもCPUの他、メモリ、I/O、クロック発生回路、その他の付属回路等、複数の素子で構成される。一方 PICは、1つのチップの中にマイクロコンピュータとして必用な基本回路一式が納められており、簡単な外部回路を用意するだけで、独立したマイクロコンピュータとして動作させることができる。
また、本実験で用いるPIC16F87では、プログラムを不揮発性のフラッシュメモリに格納するため、一度プログラムを書き込んでおけば、電源を切ってもその内容は失われない。このようにPICは取り扱いが簡便で、比較的高度な処理も簡単に実現できるため、種々の装置の組み込み用コンピュータとして多用されている。
実験装置
実験には以下の装置を用いる。各装置の詳細については「付録」を参照のこと。
実験用マイクロコンピュータセット
ステッピングモータ
7.5度/ステップ、48ステップで1回転
電源
左:PICプログラマ用、右:マイクロコンピュータ用
PICプログラマ
オシロスコープ
パソコン
ソフトウェア(MPLAB IDE、AKI-PICプログラマ)
注意
以下の諸注意を充分理解し、これらを遵守すること。不用意な取り扱いは装置の破損に繋がり、実験が遂行できなくなる。不注意により装置等を破損した場合は、各自の責任で代替品を調達してくること。
- 本実験では、マイクロコンピュータ用ならびにPICプログラマ用として、同一形状で電圧が異なるACアダプタを用いる。これらを取り違えると装置が破損するので、充分確認すること。
- PICプログラマ、ならびにCPUボードのソケットにPICを装着する場合、装着位置ならびに方向を必ず確認すること。
- PICが装着された状態での電源の入切はPICの破損の恐れがあるので、絶対に行ってはならない。
- PICプログラマがPICに対して読み書きしている状態(LEDの表示により確認のこと)で、PICの抜き差しは絶対に行ってはならない。