現在普及しつつある、家庭用デジタルビデオ(DV)のフォーマット。民生用の規格であるベータマックスやS-VHS、Hi8などはすべてアナログ記録されているが、DVはこの記録方式をデジタル化したもので、非常に高画質。水平解像度は約500本程度。輝度(Y)信号と色(C)信号を別々のトラックに記録するコンポーネント記録を採用している。そのため、色情報の帯域が広くカラーの再現性が高い、また、ジッター(VCRで再生した画面の微妙な揺れのこと)がないという特徴がある。デジタル音声は16bit/48kHzとアフレコ可能な12bit/32kHzの2種類をサポートしている。ミニカセットと標準カセットの2種類がある。FireWire対応のデッキを利用すれば、デジタル信号を直接Macintoshに転送でき、劣化のない編集が可能になる。また、制御用の信号を独立してもっており高度な編集ができる。なお、デジタルビデオではFireWireを「DV端子」や「i-LINK端子」(ソニー Vaio)などと呼んでいる。
動画を圧縮するための技術および規格。
ITU-TS(国際電気通信連合:旧CCITT)とISO(国際標準化機構)で制定されたデジタル動画と音声の圧縮・伸長に関する規格。MPEGとは Moving Picture Coding Experts Group/Moving Picture Experts Groupの意味で、実際に規格の作成にあたったISOの下部組織の略称がそのまま規格の名前になっている。(参考JPEG: Joint Photgraphic Experts Group) 基本的には、動画の1コマ目のデータをもとに、2コマ目はそれと違う部分だけ、3コマ目は2コマ目と違う部分だけと、差分を記録することで圧縮を実現する。このため動きの大きな動画の場合は、圧縮率が落ちる。
MPEG-1は、データ転送レート1.5MbpsまでのCD、DAT、ハードディスク等の蓄積デジタルメディアの動画と関連する音響の保存/再生を対象とした規格で、Video CDに採用されている。H.261(電気通信サービス事業者が中心となって定めた動画圧縮技術)をベースに標準化された。画像内での物体の動く方向を予測し、そのベクトルだけを保存するなどして、データを圧縮している。再生品質はVTR再生並みだという。CDへの記録時間は74分。
MPEG-2はデータ転送レート数M〜数十Mで、放送メディアが対象、DVD- Videoでも採用されている。MPEG-1はQuickTimeで再生可能。
MPEG-4は、1999年8月に標準化され、符号化の向上に加え、画像を物体毎に符号化できるオブジェクトベース符号化や誤り耐性符号化などを大きな特徴としている。
なお、参考までにMPEG-7は、メタデータすなわちマルチメディア・データの検索の際に直接検索対象となる特徴データを表現するための新しい規格であり、その意味で従来のMPEG標準規格とはその趣が大きく異なる。
動画圧縮にMPEG-2を使い、133分の映像と音声が12cmCDサイズのメディアに収録されたビデオディスク。再生には専用のプレーヤーが必要。画素数 720ピクセル×480ピクセル、水平解像度約500本程度、輝度(Y)信号と色(C)信号を分けたコンポーネント記録が採用されている。音声はドルビーデジタル(AC-3)サラウンドとリニアPCMのどちらかで収録される。リニアPCMはダイナミックレンジに影響する量子化ビット数が16bit、 20bit、24bitの3種類があり、音の高低に影響するサンプリング周波数は48Khzと96Khzがある。MPEG-1が採用されているVideo CDよりさらに高画質・長時間録画可能な次世代映像メディアとしてDVD- Videoが発表された。ドルビーデジタルは劇場用に開発されたドルビーSR-Dを家庭用にアレンジしたもので5.1チャンネル音声、フロントの左右、中央の3箇所とリアの左右の5箇所、さらに200ヘルツ以下の低域成分を別チャンネル(0.1チャンネル)としている。リニアPCMは2チャンネルの非圧縮デジタル音声である。
ドルビーデジタルの最新方式で、20Hz〜20kHzの帯域の5チャンネル(フロント、リアそれぞれ左右にセンター)と、120Hz以下の低域だけを専用のサブウーファーで再生する。サブウーファーの再生帯域が狭いため、これを「0.1ch」とし、合計5.1chと呼ぶ。ドルビー・プロロジックではリアチャンネルがモノラルだったが、ドルビー・デジタルではフロント、リアともにステレオ化されている。ソフト側も5.1chでエンコードされていなくてはならない。DVDソフトとDVDプレーヤーの一部で採用されている。5.1chデコーダーが単体となっている場合もある。