電楽 企画 コンセプト
コンピュータ音楽は、文字どおり、作曲・演奏の中にコンピュータを用いた最新テクノロジーを陽に取り込む音楽である。この分野で、電子音響機器を作曲・演
奏のために用いる「ミュージックコンクレート」、「電子音楽」などの音楽が始まってから半世紀ほど経過した。この間シンセサイザの登場と発展、各種音響機
器の普及などテクノロジーが飛躍的に進歩した。しかし、特筆すべきはコンピュータの登場と発展により、音響合成手法の他、アルゴリズミックコンポジショ
ン、リアルタイムパフォーマンス、ネットワークとの融合など作曲の様々な側面への応用が可能になったことである。同時に、コンピュータに音楽のどの工程あ
るいは役割を与えるか、という作曲家の課題、また作曲家の要求にどのように応えるか、という技術者の課題も増えた。
このように、コンピュータ音楽の特徴は研究技術の側面とアートの両側面が密接に関与している点にある。そして、両分野が融合しなくては魅力的な音
楽作品とならない。
こうした特質を有すコンピュータ音楽の分野は、わが国では個々の作曲家は海外などで活躍しているものの、全体としては、これまでは欧米に比べてやや
遅れをとっていた感があった。これは、研究と音楽それぞれが別個に行なわれ、両分野、両人種の交流が行なわれにくかったためある。また、これらは決して個
人の問題ではなく、こうした研究機関、スタジオ等が存在しなかったこと、あるいは立ちあげの途中であったなどが大きな要因であった。電楽では、音楽家と技
術者/研究者がコラボレートして作品が生まれるような企画とし、魅力的な作品の誕生、またひいてはわが国のコンピュータ音楽を隆盛を期待した。
「電楽」はワークショップおよびコンサートの抱き合わせ企画として、これまで2度にわたり開催された。
- 電楽I
- 電楽II
電楽II スタッフ
- 運営スタッフ 坪能 克裕 (現音)
- 松本 日之春(現音、音情研)
- 中村 滋延 (現音、音情研)
- 小坂 直敏 (音情研)
- 音楽監督 小坂 直敏
- 事務局 日本現代音楽事務局
- PPM
- SRデザイナー 加登屋 正和
- 録音 加藤 敬